2011-08-04 (Thu)
認知症が眼科医療により大きな影響を示し始めている気がする。
(S社の広報雑誌にも他科からのコメントが載っていた)

午後の手術に入ろうとしたところで
他の病院から電話。
外来に運び込まれた高齢の姉妹が興奮していて
一人は目が見えなくなったと訴えているとのこと。
認知症あり。
当院の受診歴ありとのこと。(プライバシーのため一部内容を変更しています)

カルテを調べてみると
以前閉塞隅角緑内障発作にて来院され
苦労してレーザー虹彩切開を行った患者さんであった。

眼圧は40mmHgから15まで低下していたが
白内障も進行して、両眼矯正視力0.2となっており
閉塞隅角傾向も残っていたため
白内障手術も勧めていた。
しかし、これを拒否されて帰って行かれ
その後受診されなかったことが分かった。

精神科救急の傍ら、眼科的保存的治療、早急な受診を御願いして手術に入る。

先日も閉塞隅角による急性眼圧上昇発作にて
痛み、かすみを訴える別の認知症の患者さんを
治療した。
この方は家族も献身的に頑張ってくださって
なんとか落ち着いた。

また進行した(進行しすぎた)白内障のため
ほとんど失明状態で受診する、認知症の患者さんが増えているような気がする。

手術しかないが、協力も得られず
また家族もさまざまなご苦労ですでに疲れていて
手術も様々な意味で危険である。

水晶体核が固すぎて
小切開で手術できないことがあり
切開を開くと、協力性のない患者さんではリスクが大きく増大する。
被い布が恐怖感を増大し、患者さんが動いたりするので、大げさに言えばロデオをしながら白内障手術をするというような羽目になることもある。

以前どこかに書いたかも知れないが
20年前のある日親戚の家を法事かなにかで久しぶりに訪問すると
叔母がいないので
尋ねると痴呆(当時、痴呆といっていた)が出たのか、目も悪いのか、ぼんやりしていて
奥座敷に引きこもっているとのこと。

叔母はその時85歳。
たしかに心身ともに衰えていて
物忘れが目立つ。
懐中電灯で見ると白内障も進んでいる。

大学病院に来てもらって白内障手術を行い
視力を回復した叔母はそれから
見違えるように元気になり
99歳10ヶ月まで長生きした。

肺炎などで短期間入院したときでも
「病院はいかん。年寄りが多くて気がふさぐ。」
と自分が最も年寄りながら、意気軒昂であった。

この叔母のことを思うと
出来るだけ悪条件でも手術を行いたいと思うのだが
現実は厳しい。

全身麻酔で眼科手術を行える施設は当院から60キロ以上離れていて
核家族が田舎まで押し寄せる今
病院に連れて行ってくれる人がいない。
認知症患者さんの眼科治療、特に手術治療は大きな問題となりつつある。

さて手術も終わり、
先の病院に閉塞隅角緑内障発作の患者さん受け入れについて協議するため
(興奮状態は少しおさまっているかしらん)急ぎ電話を入れに行くわたしでありました。


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