2010-07-26 (Mon)
先週土曜日の宮崎大学眼科研究会
徳島大学眼科 江口 洋先生による御講演
「術後眼内炎の予防策~medical & surgical aspect~」

術後眼内炎はごくごくまれな、患者さん側に免疫力低下などがある場合が多い合併症ですが、大変重要な問題です。
江口先生によるとスモールゲージ硝子体手術における眼内炎予防として黄斑円孔などではなくても、眼内にSF6ガスなどを少量入れて、眼圧を常に陽圧に保っておくとのこと。

陽圧という話で思い出したのは、イージス艦のことです。

イージス艦の特徴の一つは放射能に対しても被爆を最小限に留められるということ。

ある取材番組では艦内を陽圧にすることで、放射能の侵入を防ぐと海上自衛隊の係官が解説していました。

眼内陽圧の問題は白内障手術の術後眼内炎を防ぐためにも大変重要だと思われます。

白内障術後の眼圧上昇を懸念する眼科医が多いと思いますが
緑内障メカニズムがない白内障の手術においては
特に角膜切開の場合には
かなりしっかり眼圧を上げておくことが事故を防いでくれるのではないしょうか。

もし眼圧がスムーズに、しっかり上がらなければ、創口のintegirtyにどこか問題があると思われます。

以前に強角膜切開と角膜切開との眼内炎発症率の差を論じた論文がありました。この件について以前当時のASCRS会長サミュエル・マスケット博士にASCRSの教育講演の後、質問したことがあります。
彼の意見では角膜切開自体は安全であり、眼内炎発症率を高めているとは考えられないというコメントでした。
マスケット博士の昨年のインタビュー

しかし当時は3.2mm切開程度が多く、角膜層が十分に小さくないのではないかという日本側の印象でした。
(当院では現在に至るまで硝子体手術における白内障手術は強角膜切開)

これは患者母集団の角膜径の大きさの差もあります。
白人の角膜では3.2mmがさほど大きくなくても、日本人においては3.2mmではかなり大きいといったケースもあったかもしれません。
現在では極小切開白内障手術に移行してきたため、角膜切開の安全性は飛躍的に高まっていると思われます。

また前述しましたように、術後に角膜創のハイドレーションを行う際に、眼圧を高めに保って終了するということも重要だと思います。

ハイドレーションを繰り返して行っていると、眼内に流体力学的な力が加わりcohesiveな粘弾性物質にからめとられていた白内障核片が前房内に流されて出てくることもよく経験します。
統計は取っていませんが、Ozilになってから特に核片の付着が多くなっている気がしています。
(Ozil自体の問題ではなく、流量などのセッティングも関与しているかもしれませんが)

これは丁寧に再度吸引除去します。

これらの手技を常に行っていると白内障術後の炎症が有意に軽減している印象を持ちます。
白内障手術は円滑に行われたのに炎症が目立つ例ではどこかに核片が隠れている可能性もあるのではないでしょうか。

術中にどこかに核片がどこかに隠れていったようだが出てこないと言う場合、その核片を術中に隅角鏡検査で確認することも実際はなかなか困難であります。
(虹彩の後方に入っていることも多い印象)
この点も含めて、角膜切開はもちろん、強角膜切開においてもサイドポートを用いて丁寧なハイドレーションを行い、核片の残存をチェックし、眼圧を上げて術後の陽圧を確実に維持することは大きな意義があるのではないかと思います。


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