2010-07-31 (Sat)

白内障を代表とする眼内手術の術後眼内炎予防のための抗菌剤点眼は当然ですが
手術直後には抗菌剤および消炎剤軟膏を点入し、ガーゼ、シャーレ、テープという処置が一般的ではないでしょうか。

ただ、点入された軟膏が睫毛や眼瞼皮膚に多少は拡がることが気になる医師も少なくないと思います。

先日の徳島大学江口先生の御講演では手術直後から抗菌剤点眼を頻回に行う試みがなされているということでした。

九州でもこのような取り組みの眼科医が出てきているようです。
眼内炎の発生率を数千分の一から一万分の一へ、さらに限りなくゼロに近付けるための大事な取り組みです。

手術中に落下細菌が感染の原因となる可能性は非常に低いと考えられますが、以前から小生は精製生理食塩水による術中の「自動点眼」にふたつの意味があると考え続けてきました。
1. 角膜を生理的に良いコンディションに保ち、前房内の透見性を確保
2. 術野を持続的にリンスし、外部からの細菌、物質を常に眼表面から洗い流している

特に術野をリンスし続けているということは大事ではないでしょうか。
角膜の術中保護はビスコート点眼でもかなり維持できますが、ビスコートがさまざまな物質を補足してしまうという点がやや気がかりです。

術直後からの抗菌剤点眼はリンス効果もあり
理にかなっていると思います。

わたしも東京の杉田先生の白内障日帰り手術の本が出た頃から(10年前?)
北米式の術直後からの点眼を考えてみては
やはり地方の高齢の患者さんの対応力を考えるとなかなか踏み切れないところであります。

高齢者にとって点眼することは4,50歳の健常者が考えているよりもはるかに難しい手技であるため
点眼手技でかえって眼球を圧迫したり
不潔にしたり
さまざまなリスクを新たに生じる可能性もあり
心配が先に立ちます。

高齢者の術直後点眼をどのように教育指導し
時には御家族や介護担当者の援助を戴いて
安全かつ効果的に達成するかの地道なノウハウを蓄積してゆきたいと考えているところであります。


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| 白内障手術 | COM(0) | TB(0) |
2010-07-26 (Mon)
先週土曜日の宮崎大学眼科研究会
徳島大学眼科 江口 洋先生による御講演
「術後眼内炎の予防策~medical & surgical aspect~」

術後眼内炎はごくごくまれな、患者さん側に免疫力低下などがある場合が多い合併症ですが、大変重要な問題です。
江口先生によるとスモールゲージ硝子体手術における眼内炎予防として黄斑円孔などではなくても、眼内にSF6ガスなどを少量入れて、眼圧を常に陽圧に保っておくとのこと。

陽圧という話で思い出したのは、イージス艦のことです。

イージス艦の特徴の一つは放射能に対しても被爆を最小限に留められるということ。

ある取材番組では艦内を陽圧にすることで、放射能の侵入を防ぐと海上自衛隊の係官が解説していました。

眼内陽圧の問題は白内障手術の術後眼内炎を防ぐためにも大変重要だと思われます。

白内障術後の眼圧上昇を懸念する眼科医が多いと思いますが
緑内障メカニズムがない白内障の手術においては
特に角膜切開の場合には
かなりしっかり眼圧を上げておくことが事故を防いでくれるのではないしょうか。

もし眼圧がスムーズに、しっかり上がらなければ、創口のintegirtyにどこか問題があると思われます。

以前に強角膜切開と角膜切開との眼内炎発症率の差を論じた論文がありました。この件について以前当時のASCRS会長サミュエル・マスケット博士にASCRSの教育講演の後、質問したことがあります。
彼の意見では角膜切開自体は安全であり、眼内炎発症率を高めているとは考えられないというコメントでした。
マスケット博士の昨年のインタビュー

しかし当時は3.2mm切開程度が多く、角膜層が十分に小さくないのではないかという日本側の印象でした。
(当院では現在に至るまで硝子体手術における白内障手術は強角膜切開)

これは患者母集団の角膜径の大きさの差もあります。
白人の角膜では3.2mmがさほど大きくなくても、日本人においては3.2mmではかなり大きいといったケースもあったかもしれません。
現在では極小切開白内障手術に移行してきたため、角膜切開の安全性は飛躍的に高まっていると思われます。

また前述しましたように、術後に角膜創のハイドレーションを行う際に、眼圧を高めに保って終了するということも重要だと思います。

ハイドレーションを繰り返して行っていると、眼内に流体力学的な力が加わりcohesiveな粘弾性物質にからめとられていた白内障核片が前房内に流されて出てくることもよく経験します。
統計は取っていませんが、Ozilになってから特に核片の付着が多くなっている気がしています。
(Ozil自体の問題ではなく、流量などのセッティングも関与しているかもしれませんが)

これは丁寧に再度吸引除去します。

これらの手技を常に行っていると白内障術後の炎症が有意に軽減している印象を持ちます。
白内障手術は円滑に行われたのに炎症が目立つ例ではどこかに核片が隠れている可能性もあるのではないでしょうか。

術中にどこかに核片がどこかに隠れていったようだが出てこないと言う場合、その核片を術中に隅角鏡検査で確認することも実際はなかなか困難であります。
(虹彩の後方に入っていることも多い印象)
この点も含めて、角膜切開はもちろん、強角膜切開においてもサイドポートを用いて丁寧なハイドレーションを行い、核片の残存をチェックし、眼圧を上げて術後の陽圧を確実に維持することは大きな意義があるのではないかと思います。


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| 眼科手術 | COM(0) | TB(0) |
2010-07-25 (Sun)
7月24日土曜日朝
夕方食事会もあるため
新しいワイシャツと
新しいネクタイを身につける。

朝食は基本的に
作ったばかりの生ジュース
(リンゴとにんじん、リンゴがない時期
つまり現在は桃や時に地元の廉価なマンゴー)

そして納豆をそのまま食べて
五穀米の小さなおにぎり
その他

という感じである。

今日は厚切りのトーストが出てきて
身内からもらったブルーベリーのジャムをつけて
戴く。
アントシアニンたっぷりの眼科医らしい?朝食である。

自宅で栽培した手作りジャムなので大きなブルーベリーの実がころころとそのままの形で入っている。
ナチュラルで美味しかった。

さあがんばるぞと立ち上がったら
シャツとネクタイにベルーベリージャムがついている!!
ころころとシャツまで、このイタリア製のネクタイにまで着ていたとは・・。

ドッセー!

(昔の漫画によく出てきた感嘆語。シルヴィー・ヴァルタンの「アイドルを探せ」のフランス語歌詞に・・ドッセーーエエと言うフレーズがあったことによる。
ヴァルタンは最近中国資本が入ったレナウンのワンサカ娘のCMソングを歌った。)

慌ててシャツとネクタイを着替えて
病院へ。

わたしは大体よくこぼす方だが
油断していた。
ブルーベリージャムはピオクタニンと色が似ていて
いかにもシャツが染まりそう。

ぼっとして朝食を食べていてはいけないとブルーベリーに教えられました。
トホホ。


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| 恥ずかしい話 | COM(0) | TB(0) |
2010-07-22 (Thu)
眼球を外転(外側に動かす)するのは
英語でabductですね。

外転神経は
Abducens nerve。

先日ある国で邦人が誘拐されたと言う報道がありました。
「誘拐する」もabductです。

ab 離れて
duct 連れて行く

という語源から来ているようです。

わたしは外転神経好きなので
誘拐という同義語はちょっと残念です。

しかし、たしかに
間欠性外斜視において
斜視眼が外ずれしてゆく様は
外方へさらわれてゆく感じがしないでもありません。

そうそう、今日は中年女性の間欠性外斜視患者さんの手術も行いました。

さて内転(内側に動かす)は
adduct

英語ではabductと adductは発音を聞き分けにくく
誤解を生じると話が全く違ってきます。

このため
よく
神経眼科の柏井聡先生がエービーダクション abduction
とabを強調されているのも頷けます。


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| 神経眼科 | COM(0) | TB(0) |
2010-07-14 (Wed)

病状が安定しているとき
カルテにstableと書くことがあります。

安定狭心症は
Stable angina pectorisですよね。

相撲界の賭博問題がかまびすしいのですが
NHKの英語ニュースを見ていたら
相撲部屋というのは
Stables
というのですね。

Stableには馬小屋という意味もあって
力士の大変さが覗えます。

ちなみに親方はMaster。

安定しているはずのstablesに賭博の火の粉が飛んでunstableでは残念です。

相撲は日本ではある意味最もウィンブルドン化しているスポーツであり
もっと違う「マーケティング」があっても良いと思います。

そしてまた、子供の頃、地元の名士の家に横綱が招かれて大変豪華な宴が開かれたことを覚えています。
相撲は古来神事でありました。
相撲界の再出発に期待しています。


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| スポーツ | COM(0) | TB(0) |
2010-07-13 (Tue)
映画「フォーチュンクッキー」を御覧になったことがあるでしょうか。

「フォーチュンクッキー」(原題Freeky Friday)は離婚して独身の精神科医である母親と高校生の娘(リンジー・ローハン)の葛藤をコメディ仕立てで描いた映画です。

精神科医として忙しい母親は娘の反抗期に困っています。
娘は生真面目な母親が様々なことに干渉することが気に障ります。

ある日二人が中華料理店で食事をしていると、女主人にお互いの気持ちを大切にするように諭され、フォーチュン・クッキーの「おまじない」を授けられました。
次の朝起きてみると、二人は入れ替わっていたのです。

母は高校に、娘は精神科のオフィスや講演に出掛けないといけません。
母親は娘につらくあたっていた教師が自分の高校時代の同級生だったことに気付き、同級生しか知らないことを暴露して先生の態度を改めさせることに成功します。

娘は精神科医としてのカウンセリングの仕事に戸惑いますが、
母親から「患者さんの話を十分に聞き、途中で、あなたはどう思うの?という言葉を挟めば、それで仕事は成立する。」とアドバイスされ、娘の仕事も順調に進んでゆきます。!?

精神科医の現場はこんなに簡単ではありませんが、患者さんの話をよく聞くことや相手の立場になって考えるということの大切さをハートウォーミングなストーリーの中で教えてくれます。
そしてそれは家族に対しての大事な心掛けでもあります。

最後にはお互いの生活を体験し、そして今まで気付かなかった相手からの思いやりを周囲から聞かされます。
お互いを理解しあった二人はもう一度中華料理店で元通りに戻ってハッピーエンドという映画です。

日本ではあまり知られていない映画かもしれません。
「ネタバレ」もまったく気にならないくらい、もっと面白いエピソードも満載です。
もし機会があればぜひDVDをお楽しみ戴ければ幸いです。


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| 映画 | COM(0) | TB(1) |

2010-07-09 (Fri)
テキサス・メディカル・センターのフォーチュン・クッキー その1

アメリカの女優 リンジー・ローハンが飲酒運転、アルコール中毒の問題で禁固90日の判決を受けて、フォーチュン・クッキーの話を思い出しました。

ローハンさんはアメリカの青春映画、ファミリー・ムービーのスター。
「フォーチュン・クッキー」というわたしが大好きな映画の主人公でもあります。

米国の中華料理店で食事をするとフォーチュンクッキーがついてきます。
焼いたクッキーの中におみくじが入っています。

1992年、自分が眼科開業を迷っていた時、ダラスで開かれたアメリカ眼科アカデミー総会の後、ヒューストンのテキサスこども病院眼科(あこがれのvon Noorden教授)を見学しました。

ひとりぼっちのわたしはある日、広大なメディカルセンターの外れにあるラッキー・チェンという小さな中華料理店で夕食を食べました。

メディカル・センターから道路ひとつはさんで向こう側ですが、それでもどきどきするくらい、まだまだ治安が悪い時期でした。

なにしろ空港からセンターまで行くバスが街中を通る時、食料品店を襲った強盗をパトカーが追跡し始める現場に遭遇したくらいでしたから。

さて食事を終えて出てきたフォーチュンクッキーの中に
Golden investment opportunities are arising
と書いてあってやはり開業するしかないのだと
意欲がわくというよりはしみじみとした思いで心を決めたように思います。

この出来事はわたしにとってはとても印象的だったので、ブログのタイトルにしています。

以前にもこの話を書いていますので
(「ラッキー・チェンのフォーチュン・クッキー」)
知人に時々、ほら、あなたのラッキー・チェンというブログ
と言われますが
「ラッキー・チェン」ではさすがにちょっと情けないタイトルではないでしょうか(笑)。

「フォーチュン・クッキー」であります。

さてフォーチュンクッキーは元々中国料理の一部かと思っておりましたが、実は日本人が米国ではじめたものです。
ねじったせんべいの中におみくじを入れているというコンセプトだったようです。

これもまた興味深い由来があるのですが
それはいずれまた書かせていただきます。

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2010-07-06 (Tue)

SMAPの番組も断り
母校星稜高校を訪問した本田選手。

ニュースで映される彼の口元を見ると
とても口輪筋が発達している。

ブログを探すと顎関節症に関心を持つ人がちゃんと評論していた。
本田圭祐の口輪筋について

口輪筋は若さ、笑顔のポイントでもある。
口輪筋の鍛え方

本田選手の発達した口輪筋は
彼の口元に
ある種の愛らしさを与えている。
小学生の頃こんな口をしている子が時々いた。

照れずに夢を語る本田選手の姿勢は
高校生にも爽やかな感動を呼んでいた。

今の日本にとって、この効果は計り知れないほど大きい。
本田選手の今後の活躍を心から願っています。


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| 生き方 | COM(0) | TB(0) |
2010-07-05 (Mon)
忙しい一週間だった。
外来・手術に加えて
眼科研究会の準備がふたつ
医師会行事
今週末の九州保健福祉大学の講義準備
参加している臨床研究のデータ提出
さらに改訂
レセプト
論文査読
さらにワールドカップも忙しかった。

土曜日日曜日と研究会が終わって
ちょっと一息。
お世話になった先生方
関係者の皆様に篤く御礼申し上げます。

夜中にテレビをつけると
渡辺貞夫さんが
NHK地上波「J-MELO」に出ていた。

若い女性タレントさんが英語で司会
インタビューするという番組.。

しっとりした
77歳とはとても思えない
渡辺貞夫さんのリリカルなサックス。

昨年ブルーノートで聴いたときは
高音が苦しそうだったが
今日は快調。
安心した。

貞夫さんは現在までの歴史や音楽の楽しみを英語で語り
演奏した。

このような英語ベースの番組を外国向けに意識して作っているのだろうか。
CNN jの「Talk Asia」を、これは完全なインタビュー番組だが、意識しているのかもしれない。
なかなか良い雰囲気であった。

さて当院勤務の大学院生から
宮崎大学医学部大学院の講義はすべて英語になったと報告が来た。
素晴らしい!

以前から,先頭を切って東大医学部または京大医学部が学部生から英語で教育を始めると良いと思っていたが
確かに医師国家試験に使う言語の問題などもあると思われるので
まず大学院から英語というのは注目すべき改革である。

教員の先生方も大変だが
きっと大きな成果を出してゆくのではないだろうか。
と早とちりしていたら

スライドと配布物がすべて英語で
講義は日本語とのこと
??

実際英語で講義される先生もおられるようなので
さらに英語度が上がることを
期待しております。


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| 教育 | COM(2) | TB(0) |