2010-02-28 (Sun)
2月28日日曜日
宮崎県眼科医会の職員講習会
職員とともに参加。

休みにも関わらず、職員も熱心に勉強してくれた。

低視力(ロービジョン)の患者さんがどのような見え方をしているのか
視野狭窄の患者さんは視線を遠くする方が視野を広く使える
中心暗点の患者さんは近づく方が視認しやすくなる
など日常診療のヒントをいただいた。
(京都市吉田眼科医院 吉田雅子先生)

東海大学八王子病院眼科の鈴木康之教授は
緑内障検査についての講義。

話題のひとつは角膜の厚み。

眼圧測定には角膜の厚みが関与しており
10ミクロン厚くなると0.2mmHg眼圧が高く測定されてしまう
という点を指摘された。

逆にLASIKでは角膜を削るので眼圧が実際より低く測定され
LASIK手術を受けていることを申告していないと眼圧上昇が見逃されることがある。

角膜厚をパキメトリーなど
(超音波パキメトリー、前眼部OCT)
で測れない場合はスペキュラー・マイクロスコピーで測れるので参考にすること
その場合、20ミクロン厚めの数値がでるので注意
というお話であった。

宮崎市内で昼食に蕎麦を食べて
さあ津波が来ないうちに帰ろうとしたら
予想より早く日向行き特急が運休!

とほほ。

再開時間が明確にならず
後の予定も入っていたため
やむなくタクシーで日向へ帰ることになってしまった。

運賃もまけてくれた人の良い運転手さんは
生命保険会社から転職し、きのこ栽培農家とタクシー運転手を兼業していて
お話がとても面白くてつい名刺を戴きたくなった。

11歳年下の奥さんと30年近く一緒にお風呂に入っているという
円満な人柄で
シメジの菌の研究
作物直販の問題
どうしたらスーパーでの「棚もち」(新鮮度)を長く保てるか
保険業界の内幕や職場でのちょっと艶っぽいお話
商売の成功自慢も混じるのだが、それがまったく嫌味ではなく笑いっぱなしであった。

厚生年金の資格取得のために数年会社組織のタクシーに勤める人がいる理由も理解できた。
(20年会社勤務しないと厚生年金の資格取得ができない。
勤務18年目で会社が閉鎖されたり、職がなくなったりしたら後2年務める必要があるらしい。
最近そんな方が多い気がする)

小さなトラブルのために興味深い話を聞く機会ができて
かえって得したような気分にさせていただいた。

津波も大きな被害がなかったようで幸いだ。
I運転手さんに感謝。



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| 眼の病気 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-27 (Sat)
今夜は眠れない人も多いのではないだろうか。
浅田真央さんの銀メダルはまことに残念。

もちろん直前までの不振を思えば、驚異的な追い上げといえる。

しかし銀メダルに納得しない
自分の演技に納得しない
浅田真央さんの凄絶なというか
鬼気迫る美しい姿を見ていると
ともすれば忘れがちになる
限界まで挑戦する気概を
この少女に教えられた気がした。

「浅田真央に金メダルで勝ったけれど
それでも真央になにか敵わないものがある」
わたしがキム・ヨナさんだったら、失礼ながら、そう思っているかもしれない。

すべてを兼ね備えた真央さんを勝たせることが出来ない
プロデュースしきれない
サポートしきれない
日本のおじさん達(わたしも)に「喝」!であります。


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| 生き方 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-21 (Sun)
国際医療福祉大学の武藤正樹教授によれば
大腸がん手術のため2週間入院した1人の患者に医師が費やす時間700分のうち、書類作成やカルテ記載など医療クラークに頼める仕事が36%(248分)あったという。
(メディカルウエーブ2月19日)

病棟に医師が10人いる病院では事務業務を見直せば3人以上パワーが増えることになる。
もしくは仕事が3割以上楽になる。

これに対し大きな病院では医師事務作業補助体制加算がアップし810点になる。

これでなんとか医療クラークが必要最低限雇えるのではないかしらん。
(普通の開業医にはこの補助はない)

このような事例からもさまざまな医療現場での医師の業務の無駄がある。
医師の進路について適正な配置を行えば
現在すでに医師は過剰であると思う。
今年から各大学の医学部の定員増が実施されるがどうなのだろうか。

病院運営者からすると医師過剰は医師をリクルートしやすくなり、悪くない。
しかし医師が過剰になり医師人件費が下がっても医師の数が多いと出来高制下では医療費総額は下がりにくいのは自明だ。
若い医師にとっては厳しい時代が待っていると思う。

優れた人材の宝庫である日本人医師の弱点は英語による医学教育を受けていないため、将来医師過剰が顕在化した時に外国で職を求めることが難しいことである。
会話が出来れば良いというレベルではない。
英語の医療文書を短時間に大量に読み、診断治療を筆記、口述できなければならない。

これを平均的な医師が自分で身につけるのは難しい。

(シンガポールやタイで見る限り、患者さんとは現地語で話し、英語でカルテを書くことは余り違和感なく出来ると思う。英語ベースで医療が出来れば外国人患者を受け入れやすいし、このことが国の医療を潤せば優秀な医師の海外流出を抑制することにもなるようだ。)

突飛かもしれないが、
猪口孝東京大学名誉教授的に発想すれば

(「英語は道具力」 猪口孝著 西村書店
上級公務員試験における英語検定を大幅に増やし、昇進にも英語試験を義務付ける。
採用試験もコンピュータを使って英語論文を試験会場で書く。
英語・日本語で意見を発表し、試験官の質問に英語で答える。
なぜなら東アジアサミット15カ国のうち会議で通訳を入れているのは日本だけという笑えない現実があるからである。)

東京大学医学部が6年間の教育をすべて英語に切り替えるか
(国際教養大学などでは出来ているので東大に出来ないはずはない。他の大学も倣うだろう)
医師国家試験を英語化するのが
若い人には厳しいけれど最も良い贈り物かもしれない。

医学部の優秀な若者は必ずそれを乗り越えて世界に羽ばたくと思う。

当ブログ参照記事 医師不足
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| 医学教育 | COM(2) | TB(0) |
2010-02-17 (Wed)
「Dr. Yoshi アメリカ開業医はつらいよ!」
 二木 良夫医師著(克誠堂出版)

この本は米国に臨床留学し開業までした医師の手記。
大変興味深い。
映画「Sicko」に描かれているアメリカ医療のさまざまな問題点は本当のことであるということがよくわかる。

やたらな医療訴訟とそのための医師側の医療訴訟保険の高騰(保険料が1000万円になる科も)のため、フロリダから専門医が逃げ出すなど。
著者が日本に帰るといかに日本の医療が安価であるか、実感したという。

著者の開業医仲間でベテランの小児神経医Dr. Vは頭痛が主訴の患者すべてに対して、CTもしくはMRIを撮っていた。

米国での研修中は、問診と理学所見で偏頭痛の可能性が高いと思われるのであれば、CTは医療費の浪費であり、撮るべきではないと教わり、
もちろん教科書にもそのように書いてある。

著者が質問するとDr. Vはにやりとして、おもしろいものを見せてあげるよと言い、一枚のコピーを見せてくれた。

1991年6月付けの手紙のコピーであった。

この患者は24歳女性。11年間偏頭痛様の頭痛があり、偏頭痛に対する薬物治療にもよく反応し、神経的所見はすべて正常であり、偏頭痛の診断で、頭部CTは一度も撮られたことがなかった。

この患者は最終的に非腫瘍性の中脳水道狭窄が発見され、水道狭窄による脳圧亢進が直接の死因と考えられ問題となり、医療訴訟保険の最高額を超える巨額の賠償金が発生し、この医師は破産し、その助けを神経科医学会員に訴えているという手紙であった。

教科書的に適切に対応していても結果が悪いごく稀な例ではこのような悲劇が起こりうる。
Dr. Vはすべての頭痛患者のCTを撮らざるを得ないと言っていたという。

「小児神経開業において、頭痛の患者の占める割合は大きく、何十年も開業しているとかなりの数になる。医学においては、すべての患者が教科書的な症状で来るわけではない。その中には、非典型的、非教科書的な患者も必ずいる。それらの一人でも見逃したら、その時点で医者のキャリアは終わる。
教科書的スタンダードを学ぶ研修医と、何でもありの実践である開業との違いを知らされた経験であった。」

デリケートな問題ですが、教科書的な法則と「現場・現実」との差については細心の注意が必要なのだと再認識しました。




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| 医療問題 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-14 (Sun)
「オーガニック」というものにある胡散臭さを感じていたことがある。

今はオーガニックという文化が少し分かってきた。

知識人の説くオーガニックにはなじみにくかったが
たとえば高城剛さんによる「オーガニック革命」(集英社新書)はロンドン・バルセロナでの現場感覚を基に書かれていて分かりやすい。

高城さんを胡散臭い人と思う向きもあるかもしれないけれど、この内容には説得力がある。
日本的基準からはヘンな人に見えるくらいでちょうど国際的なのだろう。

「オーガニックとは、近年の間違った効率化や行き過ぎた資本主義を見直す運動である」

「中学生だった1970年代、まだオフィス用の大型コンピュータしかなかった時代に、秋葉原でポケコンと呼ばれるポケット・コンピュータに出会ったとき、「これからコンピュータは個人のものになるだろう」とどこかで直感した。」

「おそらく僕がいま多感な子供だったら、「きっとこれからはエネルギーも農業も個人化するだろうな」と直感で感じていたことだろう。」

という文章が印象深い。

わたしの恩師は早朝、大根やジャガイモを収穫し病院の厨房まで持って来てから、モーニング・カンファレンスを行うのが日課であった。

あなたはもう自家発電、家庭菜園を始めていますか?



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| 生き方 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-08 (Mon)
アメリカ眼科アカデミー機関紙
Ophthalmology 誌2010年1月号の巻頭言は興味深い。

閉塞隅角緑内障の原因についてジョンズ・ホプキンス大学眼科のQuigley教授がThe iris is a sponge: a cause of
angle closureとして急性閉塞隅角緑内障が起こるメカニズムについて述べている。

閉塞隅角を示す患者の10%が急性閉塞隅角緑内障発作を起こし、大きな障害を受ける。

いままで、閉塞隅角の人々のうち、どのような閉塞隅角の眼が発作を起こす危険性が高いのかを知るための良い検査がなかった。

小型の眼・狭い隅角に緑内障発作のリスクがあると考えられるが隅角鏡検査、UBM(特殊な前眼部エコー)ではどの眼においてリスクが高いのか、見分けがつかなかった。

暗室散瞳試験・点眼薬を用いた散瞳誘発試験による眼圧上昇を目安とした検査でも不十分であった。

Quigleyらは開放隅角の眼は散瞳時に虹彩がスポンジから水を絞り出すように
細胞外液を排出して、虹彩の体積を減じ、隅角が根元に折りたたまれても厚みを増やさず、隅角を閉塞することにならないように動いていることを示した。

今回の論文
Aptel F , Denis P:
Optical coherence tomography quantitative analysis of iris volume change after pharmacologic mydriasis.
Ophthalmology 2010;117:3-10
は以下のように述べている。

急性閉塞隅角緑内障を起こした患者さんの、発作を起こしていない残りの眼(フェローアイ、予防的に虹彩レーザー切開施行すみ)に散瞳剤を点眼し、人工的に散瞳すると閉塞隅角緑内障の僚眼(緑内障発作のリスクが最も高いグループに入る)は虹彩の体積が増加したのに対し、開放隅角の眼は虹彩の体積が減少した
その差は統計学的に有意であり、虹彩の体積変化のダイナミックな特性を測ることにより、閉塞隅角を示す眼のうち、どの眼の患者さんが急性発作という危険な状態を示すのか、予知することが可能になる。

閉塞隅角の患者さんに予防的にレーザーを行うことについてはさまざまな議論があり、予防するのもしないのも現場では大変悩ましい。

わたしは身内にレーザー予防治療を控えてひやりとしたことがあり、他の経験からも再び予防派に戻りつつある。

QuigleyやAptelらの説明がすべての人種の閉塞隅角症にあてはまるのか興味深いところであります。



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| 緑内障 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-07 (Sun)
トヨタのリコール問題について

CNNを見ていると(米国の地上波で)トヨタ・バッシングが激しいことが報道され続けている。

日本ではメディアのトヨタに対する遠慮?もあって報道が控えめだ。

この件は政治的バッシングの色彩も帯びていることが米国外から報道され始めている。

もちろんトヨタの問題点も大きいのだと思われ

擁護するつもりはないが

CNNの日本特派員もラフード運輸長官などの対応も含めてトヨタにやや同情的な面を見せている。

(このようなときにはCNN日本特派員が(おそらく)韓国系であるということも、たまたまかもしれないが、日本の国際的な人材の不足を痛感する。)
アクセル問題はGMも同様である

以前ダイムラー・ベンツが小型車で横転事故問題を起こした時に、当時高価だったABSを全車に付けて安全性を確保したことを思い出す。

トヨタは内部留保があるはずだからそれをしっかり活用し、
(創業期に倒産しかけたことを思えばなんでもできる)

日本からも多くの技術者を送るような具体的な動きを報道させ、広報し
迅速に、徹底的に、歴史的な、かえって得をしたと言われるような補修を行い

日本の誇り(いまやトヨタは日本の将来のリトマス試験紙となっているのかもしれない)を守って、

というか、これを奇貨として内(内部引き締めの良いチャンス)にも外にも攻めていただきたいと思います。




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| マネジメント | COM(0) | TB(0) |
2010-02-06 (Sat)
レーザー網膜光凝固が必要な入院患者Aさん

レーザーに呼ばれて
暗室に行く前に

入院仲間に向かって

「やいと(お灸)にいってくるわ」

と言っていたので

ついウケてしまいました。


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| 網膜の病気 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-04 (Thu)

最近
外国で眼科専門医に紹介され、網膜出血があってレーザーが必要だと言われたけれど
帰国の準備が忙しかったため、治療しなかったが心配だという60歳代の女性患者さんが来院されました。
(プライバシーのため内容が変更されています)

眼底を検査すると、
網膜周辺部に血管が盛り上がったような病変があり
一部硝子体出血し
最周辺部には無血管帯があります。

念のため、未熟児(低出生体重児)ではなかったか伺うと

「ええ、未熟児でした。」とびっくりされました。

「生まれたときの体重が400匁(もんめ)だったそうです。」

と言われて、
うーん、何グラムかしらん。

1匁は3.75g

400匁は1500g。

通常の低出生体重児が2500g未満。
極低出生体重児が1500g未満と定義されている。

65年前のことなので助からないかもしれないと言われたそうです。

患者さんの眼底疾患は古い未熟児網膜症というより
Coats病のような印象でありました。
もう少し検討が必要です。
もしレーザーが必要なら慎重に施行してなんとか眼底が落ち着いてくれると良いのですが。

匁という言葉を久しぶりに聞きました。


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| 小児眼科 | COM(0) | TB(0) |
2010-02-02 (Tue)

昨晩、偶然、グラミー賞授賞式を観た。

ハイチ出身のワイクリフ・ジョンが出てきて
ハイチ大地震に対する米国の支援に感謝し

なんとアンドレア・ボチェッリ(盲目のテノール歌手)
が「明日に架ける橋」を歌いあげ
メアリー・J・ブライジと感動的なデュエットを聞かせてくれた。

Like a bridge over troubled water,
I will lay me down

という美しい詩句を
諳んじている人は少なくないだろう。

このところCNNでは連日ハイチ救援のニュースが流れ
CNNの記者たちは一時的に医療班を手伝っていた。
(CNN医学レポーター、サンジェイ・グプタ医師は脳外科医。)

こういう時やはりアメリカって格好いいなあと感心するのであります。


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| 音楽 | COM(2) | TB(0) |