2013-06-04 (Tue)

九州眼科学会懇親会では久しぶりに福岡県太宰府のY先生にお会いしました。

内心驚いたのは、もともとハンサムな方ですが、なんというか、とても綺麗な夾雑物のないお顔をされていることでした。
わたしがコメントするのも僭越ですが、内面が澄んでいないとああいうお顔になれないのではないかしらん。

Y先生は、そう思う方も多いと思いますが、小生の「心のボス」であります。
2回ほど先生のクリニックを見学して大変よく教えていただきました。

習ったことのひとつは白内障術前に角膜径を必ず計測すること。
私の経験では角膜横径が10.5mmを切ると手術が各段に難しくなると思います。しかし顕微鏡下の像ではその角膜が10.5mm以下の直径を示している、となかなか気づきにくいのであります。
IOLマスターのWTWでも分かりますが、実測する方がやはり確実です。
そして、特に直径が短いと言うことは
1) 前房が浅い、前房体積が小さいということにつながります。
2) 前嚢切開の直径が小さくなって手技が窮屈になる場合もありえます(小生はCCCも計測しています)。

このため前房が浅いことを意識せずに手術を行うと、合併症のリスクが高まったり、術後、角膜内皮変化が大きくなったりということになりかねません。

Y先生と話しているところへ
ある先生がやってきて、
「若い人はOCT(光干渉断層計)ばかりで眼底をしっかり見なくなった。」と嘆かれるので
わたしも自分自身OCTに頼りすぎているような気がして、眼底をしっかり見なくてはけないなあと思っていたところ
「眼底は検眼鏡的に見ることが出来るがOCTを(精密に)読めない人が、現代の、眼底を見きれない人です。」とまた名言を残して去っていかれたボスなのだ。(赤塚不二夫口調)



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2012-06-10 (Sun)

小学生の頃(東京オリンピック頃デス)、太平洋戦争において、なぜ栄光の零式艦上戦闘機(零戦)が米国の戦闘機に負けていったのか、いつも考えていました。

当時の少年雑誌にもよく解説が書いてあったのですが、なかなか納得できるものはありませんでした。

最近「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」が再び脚光を浴びています。
今日、書店で購入した「「超」入門 失敗の本質」鈴木博毅著 ダイアモンド社を読むと

米軍は
操縦技能が低いパイロットでも、勝って生き残れる飛行機の開発と戦術の考案
命中精度を極限まで追求しなくても撃墜できる(近くをかすめるだけで爆発する)砲弾の開発

という発想の転換によって零戦を迎撃できるようになってゆきました。
米軍機の防弾装備が零戦よりもしっかりしていた、という事実は昔からよく知られており、子供心にも、日本軍が熟練パイロットを大事にしていなかったことを残念に思っていました。

日本軍パイロットは血の出るような訓練によって零戦を自在に操作し、太平洋戦争初期において勝利を収めました。

しかし「ゲームのルールを変えたものだけが勝つ」 IBM会長 サミュエル・パルサミーノ

ゲームをまったく変えられてしまうと、昨日までの勝利の方程式が揺らいできます。

今週末は日本白内障屈折矯正手術学会が東京で開かれます。
フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術が「新しいルール」を提示し
熟練眼科外科医を過去の遺物としてしまうのでしょうか。

いみじくもDuke Med Health News ( 2012 (1):1-2 )には

Game-changer for cataract surgery.
Femtosecond lasers enable more efficient, faster, and safer cataract surgery, and are expected to be the standard of care within about five years という記事を掲載しています。

新着のOphthalmology 誌(2012 May;119(5):891-9)
には

Bali SJ et al :
Early experience with the femtosecond laser for cataract surgery という論文が掲載されています。

最初の200例において 後嚢破損3.5% 核落下2%。

しかし、1980年頃、初期の超音波白内障手術を見て今の安全な術式に成長するとただちに信じられた人は少なかったことを思えば、ルールが変わる可能性を念頭に置く必要がありそうです。


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2011-11-15 (Tue)
このところ
月曜日の夕方は歯科治療に通っている。
外来を終えて大至急でタクシーに飛び乗り
歯科医院の最終予約時間にすべりこむ。

抜歯や歯茎の治療のために麻酔されて
結構大変である。
鼻呼吸が下手なせいか、治療の度に、水でおぼれそうになるのはわたしだけだろうか?

また、わたしは痛がりなので、迷惑を掛けているけれど
(いつもありがとうございます!)
これから比べると
通常の白内障手術は患者さんがいうように本当に楽ではないかと思う。

それでも患者さんにしてみたら
診察台の上で、痛いのではないかと
ギシンアンキになっているわたしのように
不安なのだろう。

歯科の先生やスタッフのようにもっと
痛くないですか?
とか
もし痛かったら左手を挙げてください
(眼科では右手の血圧計、左手の点滴のため、手は挙げにくいけれど)
などの声掛けをしなくてはいけないなあ、と
反省しつつ

ものすごく拡張したような、しびれた下くちびるを
つい噛んだりしながら
遅い晩ご飯を食べる小生でありました。


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2011-10-17 (Mon)
10月14日金曜日午後の診療を無事終えて
特急に飛び乗り、宮崎空港へ

福岡泊。
15日土曜日朝、Korean Air にてソウルへ。
APACRS(アジア太平洋白内障屈折矯正手術学会)に出席予定。

ソウルは近いのでエコノミー・チケットにしていたが、満席のため、ビジネスにアップグレードされた。幸先が良い?気がする。

ビジネスのCAは接客も容姿も洗練されていて日系に劣らない。
英語も流暢。

インチョン空港ではパークハイアットソウルのセダンに迎えられた。
運転手のJさんは日本語が上手。
ざっくばらんな人柄で話し好きなため、こちらもどんどん韓国の医療事情、教育事情など聞いて面白かった。
帰りもJさんの予約を入れさせてもらった。

韓国では高額医療費制度はないが
医療費が高い場合には自己払いの率が小さくなり
たとえば医療費が1億ウォンかかった場合は5%くらいの支払いになる。
500万ウォン(40万円)ならなんとか払えますとのこと。
また国民保険以外にも医療保険に入っているので、それも助けになると。

教育はみなふたつくらいの塾に出していて、小学5年生である自分の子供は遊ぶ暇もない。
学校の終わる頃、塾の送迎バスが並ぶ。

夜12時頃帰ってくるので、もう少し運動させたほうが良いと、妻に話しても無視されますと笑う。

盧武鉉大統領が英語を重視する政策に転じているため、国民は英語にかなり教育費を使っている。
大企業に入るには英語が流暢であることは当然で、その上で才能があるかどうかが勝負だとみんなが分かっている。

韓国は本当に頑張っているのだなあと感じつつ、ソウルに入ってゆくわたしでありました。


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2011-05-29 (Sun)
今週の白内障手術も
チン小帯が弱い例が多く
気を遣った。

8割の例がチン小帯脆弱
半数がAVD(Anterior vitreous detachment)であった。

カプセルサポーターは1例のみ使用。

九州の地理的に比較的孤立した田舎であるためか
核が固く、チン小帯脆弱、AVD+チン小帯バリアー破綻、高齢・落屑症候群・白内障という例が当院は多い。

このようなときアルコン社のInfiniti Ozil IPシステムはかなり役立つ
吸引、流量、還流量を低設定としても、核破砕効果が落ちないので、慎重に固い核を処理するのに効果的である。
ただ時間は掛かる。

核片が寄って来にくい時もあるのでやや「かったるい」
チップの先にというか横に核片があるのに入ってこない。

このような時、ハンドピースの先(チップ)を後嚢に注意して細かく振ると、流体力学的に変化を生じて、核片が寄って来やすく、破砕しやすいように思う。

シェケナベイビー!
である。

これはもちろん、全く他の医師には勧められないが、現象として、そのような気がする。

シェケナベイビー
といえば内田裕也「さん」であり
(彼はいつも業界内ではさん付けで呼ばれていた)
有名なのは沢田研二を有するザ・タイガースを見いだして檜舞台に出したこと。
またビートルズが来日した際の前座を務めた。


昔、ビートルズの曲 Twist and shout!
冒頭において
ジョン・レノンがシェケナベイベー、ナウ
と歌っていて、
シェケナベイべーとはなんのことか
よく分からなかったけれど

Shake it up baby now ! “

さあ、腰を振れ!
ということだったようだ。
ビートルズ ツイストアンドシャウト

白内障手術もほんの少しだけなら、twistしてみても良いのかも
そう思ったわたしでありました。


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2011-01-16 (Sun)
今年も年賀状を沢山戴き感謝しています。

微笑ましい、面白い年賀状も多かった中
異彩を放っていたのは

術衣のまま
インフィニティ(白内障手術装置)の横に仁王立ちになり
ワイヤレスマイクから
手術指導する

巨匠T医師のお年賀状でありました。

一言
「00したらいかんぜよ!」

と印刷してあった。

手術指導を行う立場というのは
本当に大変なことと拝察する。

そして00するな、というと00してしまうのが人の常。

わたしは00したくてもできないような機械的(ソフト的)仕組みを作るのが良いと思いつづけてきました。
しかし工学的にもこれが難しい。

T先生、御自愛ください。


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2010-07-31 (Sat)

白内障を代表とする眼内手術の術後眼内炎予防のための抗菌剤点眼は当然ですが
手術直後には抗菌剤および消炎剤軟膏を点入し、ガーゼ、シャーレ、テープという処置が一般的ではないでしょうか。

ただ、点入された軟膏が睫毛や眼瞼皮膚に多少は拡がることが気になる医師も少なくないと思います。

先日の徳島大学江口先生の御講演では手術直後から抗菌剤点眼を頻回に行う試みがなされているということでした。

九州でもこのような取り組みの眼科医が出てきているようです。
眼内炎の発生率を数千分の一から一万分の一へ、さらに限りなくゼロに近付けるための大事な取り組みです。

手術中に落下細菌が感染の原因となる可能性は非常に低いと考えられますが、以前から小生は精製生理食塩水による術中の「自動点眼」にふたつの意味があると考え続けてきました。
1. 角膜を生理的に良いコンディションに保ち、前房内の透見性を確保
2. 術野を持続的にリンスし、外部からの細菌、物質を常に眼表面から洗い流している

特に術野をリンスし続けているということは大事ではないでしょうか。
角膜の術中保護はビスコート点眼でもかなり維持できますが、ビスコートがさまざまな物質を補足してしまうという点がやや気がかりです。

術直後からの抗菌剤点眼はリンス効果もあり
理にかなっていると思います。

わたしも東京の杉田先生の白内障日帰り手術の本が出た頃から(10年前?)
北米式の術直後からの点眼を考えてみては
やはり地方の高齢の患者さんの対応力を考えるとなかなか踏み切れないところであります。

高齢者にとって点眼することは4,50歳の健常者が考えているよりもはるかに難しい手技であるため
点眼手技でかえって眼球を圧迫したり
不潔にしたり
さまざまなリスクを新たに生じる可能性もあり
心配が先に立ちます。

高齢者の術直後点眼をどのように教育指導し
時には御家族や介護担当者の援助を戴いて
安全かつ効果的に達成するかの地道なノウハウを蓄積してゆきたいと考えているところであります。


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2010-03-30 (Tue)

昨年秋に白内障手術を受けた高齢の女性が再診。

「今年の春初めて
自宅近くの山に山桜が咲いていることに気付きました!」

とても嬉しそうに教えてくださった。

わたしも嬉しくなって
患者さんが桜を見つけた時の感動を思った。


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2010-03-18 (Thu)
当院では超音波白内障手術に
アルコン社Infinitiを使用している。

従来の縦振動超音波に加えて横振動のOZilという、破砕能力が高く、熱エネルギー発生が低いモードが使えるのが利点である。

OZilには使用が難しい面もあり
習熟が必要であるが
創口を小さくできるので極小切開にも適している。

しかし弱点のひとつは固い水晶体核を破砕していると、ケルマン型のマイクロチップが核片によって詰まってしまうことであった。

チップが詰まると手術のリズムを微妙に乱すため、これで嫌になる術者も多かったと思われる。

ところが先週から使い始めたインテリジェント・プログラムを用いると
OZil100%の設定下でチップの開口部が90%閉鎖すると、縦振動の超音波がパルスモードでしっかり出て、核の詰まりを防ぐ。

白内障が進行して核が固くなってから来院される患者さんが多い当院のような田舎のクリニックではこの機能は福音である。

当院は落屑症候群や閉塞隅角を持つ白内障も多いので低吸引設定でも破砕効果が高いOZilはうまく使えばとても有効である。

フェイコチョップして割ろうとする時に、
これは固い
と思う例も核片が詰まらず、創口も焼けず、角膜内皮も傷めずに静かに、時々縦パルスのシュッシュッという音が小さく混じりながら淡々と核が破砕吸引されてゆく。
核が固くて食いこみが悪い時はAVDがなければもちろん流量を上げてもOK。

確かに物静かにインテリジェントに仕事をこなしてくれるソフト。
なかなかの優れものであります。


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