2011-04-15 (Fri)
福島第1原発事故がレベル7評価に引き上げられたことに関し
BBCはSeven is not a lucky number と題して特集していた。

わたしは昔々、水俣病の審査会委員の末席に連なったことがある。
福島原発の展開は、杞憂だとは思うが、水俣病の初期に似ている気がしないでもない。
ほとんど前例のない水銀中毒の可能性について警鐘を鳴らす地元医学者の声を高名な研究者が重要視せず、国も企業も姿勢を明確にしきれず、公害が徐々に拡大してしまった。

原発の放射能汚染について、地上波には出ない(出られない?)武田邦彦教授の意見
(朝日ニュースターでその話を聞いていささか心配になった)を念のため頭に入れておく方が良いのかも知れない。
武田邦彦教授のHP

さて、身内に不幸もあり、バタバタしながらオペ室に入ったところへ
両眼急性視力低下(m.m.)の患者さんの紹介があり
手術の合間に検査と脳外コンサルト指示。

手術もこのところ難治例の方が少なくない。
詳しくは書けないが
本日のある患者さんの白内障手術は
落屑があり、核が固く
小瞳孔で瞳が広がらないため
瞳孔を虹彩フック4本にて拡大。

白内障の前嚢切開をすると、チン小帯が脆弱なため、水晶体が相当グラグラである。
さらに前嚢縁をカプセル・エキスパンダー3本にて支えながら
超音波白内障手術を終了。

確かに7はラッキー・ナンバーではない。
いや手術が成功してやっぱりラッキー・ナンバーと言うべきか
などと考えている間もなく
緑内障の患者さんが搬入されてくるのでありました。


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2011-04-10 (Sun)
米国コロンビア大学眼放射線環境研究所から出ている論文抄録を読みました。
チェルノブイリ原発事故に携わった清掃業者8607人について、暴露後12年目14年目に白内障について検診。
放射線白内障が25%に見られた。
検診対象の90%は55歳以下(通常、加齢性白内障が出るにはまだ早い年代)。

Worgul BV et al.
Cataracts among Chernobyl clean-up workers: implications regarding permissible eye exposures.
Radiat Res. 2007 Feb;167(2):233-43.

この問題がすぐに視機能低下につながる程なのかは分かりませんが、原発事故現場で頑張っておられる人々には眼障害についても気配りをお勧めしたいと思います。

この問題に関連して懸念されるのは、兵站(訓練された要員の交代補給と物資の補給)がいまだに不十分であること。
さまざまな障壁はあるでしょうが、日露戦争、太平洋戦争、経済活動、さらにあえて言えば医学研究などすべてに見られた日本の弱点であります。

専門家も言うように10倍の要員を投入して頻繁にチームを入れ替え、眼障害だけでなく、より深刻な障害を防ぐべく、現場の健康被害リスクを最小限に抑えてゆくことが必要ではないでしょうか。


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2010-09-10 (Fri)
このところ忙しい。

APAOも迫っている。
(アジアパシフィック眼科学会。北京で開催。
アメリカ眼科学会とジョイントしているので、結構規模が大きいと思われる。9月15日-20日)

APAO HP

ポスターもまだ仕上がっていない・・。

来年シンガポールで開かれるAsia ARVOの抄録締切も近い。
学会場は最近開発目覚ましいセントーサ島。
ただ島内にホテルが少なく
街中のホテルは遠い。

学会の推奨ホテルはユニバーサル・スタジオに隣接するハードロック・ホテル。
予約は取ったものの、おじさんである小生は
ちょっと「ハードロック」になじみにくそうな予感がする・・。

さて外来も忙しい。
口蹄疫が一段落し、遠方からの患者さんも再び来院されるようになってきた。

最近、高度に進行した白内障の患者さんが多い。

聾唖で両眼白内障のため失明状態という老年男性も来られて
手術も大変だったけれど
術後はちょっとニコッとされるようになり
お互いに、ついに、コミュニケーションが取れてきて嬉しい。

認知症で成熟白内障(水晶体全体が隙間なく濁ってしまっている状態)という方も少なくない。
ただでさえ手術の難易度が上がっているのに
手術中に嫌がって動いて危ない。
最近は結構そういうことにも慣れてきた。
(全身麻酔下に手術を受けられる遠方の施設へ紹介されることを受け入れられない家族も多い)

余りに言うことを聞かれず危険な場合は
家族に手術室に入ってもらい
患者さんの手を握って声掛けしてもらうと
結構落ち着かれることも多い。

わたしもスタッフも手術ベッド横に家族がいて
白内障手術をするという状況に慣れている。

てんやわんやの中に刻々学会も近づいてくる九月であります。

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2010-08-08 (Sun)
最近当院では
進行した白内障
といいますか
進行しすぎて成熟白内障になっている患者さんが多いように感じます。

白内障はあまり進みすぎると、最新の手術装置や技術を使いにくく、様々な点で手術リスクが上がります。
高齢の患者さんはなかなか受診もままならず、進行した白内障が増えているのではないかといささか心配です。

さて先週の7月31日土曜日、8月1日日曜日。
九州神経眼科セミナー(玉名市福島眼科医院福島正大先生の絶大なるご支援に感謝します)が玉名市で開催されました。

日曜日午前中に柏井聡先生による
1. 神経眼科認定医講習会
2. 小児神経眼科講演を拝聴。

1. は瞳孔の見方について。

RAPD(Relative afferent pupillary defect)についてよく知られている興味深いポイントのひとつは以下の点です。

片眼が成熟白内障になっていて他眼の白内障が軽度である場合
たとえば白内障進行眼(右眼)の矯正視力:指数弁、対側眼(左眼):1.0である場合

スウィング・フラッシュライト・テストを行うと
不思議なことに視力の良い左眼にRAPDが陽性に出ます。

これは
1.白内障化した水晶体のランタン効果によって光が網膜周辺まで拡散することから白内障眼において網膜に対する光刺激がより」強くなること
2.光学的に遮蔽された眼では網膜の感度が上昇し、光に対する縮瞳反応が増強されることから
正常眼に逆にRAPDが出るという現象が起こります。

このため成熟白内障眼にRAPDを生じている場合には視力予後が悪いと予想され、この点を術前に患者さんに対して詳しく説明しておく必要があります。

都市部の白内障手術に特化した病院ではもしかしたらRAPDをあまり重視していないところがあるかもしれませんが、ぜひチェックされることをお勧めします。



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